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俺より年下だろうに、俺に助言する顔は弟に対する姉のように偉そうでいて親身。
先程までの張り詰めていた少女の気は完全に緩んだ。その緩んだ気につけ込み、俺の背後に隠れていた手首が二つ少女に襲いかかった。
「くっ」
一つは少女の細い首、一つは恐ろしい刀を持つ右手を掴む。
少女は唯一自由に動く左手で首を絞める手首を外そうとするが、純粋な力では手首の方が上のようで、少女の顔はリトマス試験紙のように青く染まっていき息が荒れてくる。
そして俺は動いた。
手刀を少女の右手首に叩きつけると同時に握力が緩んだ隙に少女の小太刀を奪い取る。
少女の裏切られた思いがこもった瞳が俺を見つめる。その瞳から視線を逸らさないままに、俺は小太刀を振るった。
一閃、少女のように踊るような優雅さは無いが無駄を削ぎ落とした実用美の直線が少女の首に襲いかかる。
パリン、少女の首を絞める手首が砕けた。どうやら俺が使っても小太刀の威力は発揮されている。小太刀の主を助けたい思いが俺に力を貸したのか?
返す刀で少女の手首を掴む手首を砕いた。
「かはっ」
解放された少女は膝を付いて咳き込む。
「大丈夫か」
「うっうん」
少女が俺の指しだした手を掴んで立ち上がる。
柔らかく小さな手だ。
「ありがとう助かったよ」
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