9人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
guest1 早島色音《はやしまいろね》
覚醒した私が目にしたのはきらびやかな
観覧車だった。
辺りを見回す。
私以外に人っ子一人見当たらない。
空を仰ぐと真っ暗な闇から糸のように細い雨が降っている。
─ここはどこだろう?
目が覚めたら遊園地のような場所にいた。
今、私は世にも奇妙な体験をしているに違いない。
先程まで寝そべっていたであろう大きめのベンチを離れ園内を散策する。
カラフルなコーヒーカップに、今にも動き出しそうな木馬の付いたメリーゴーランド。
奥には曲線を描いたコースが見える。
ジェットコースターだろうか。
雨足が強まってきた。
髪や制服をじっとりと濡らし重みを増していた。
雨に濡れても嫌な気分にならないのはこの景色のおかげだろう。
アトラクションに取り付けられた橙色の電飾が雨の中に滲んでいくようでとても綺麗だった。
最初のコメントを投稿しよう!