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師匠の心臓を貫いた瞬間、師匠の体から全ての力が抜けて、俺の体に覆いかぶさってきた
『おのれぇ…よくも…。今度はお前の体を器にしてやる』
俺の左腕の傷が熱を持ち、無理やり開かされていった。激痛で意識を失いそうになったが、必死に堪えた
ここから失敗は許されない
「ノロイ!俺の体から魔物が出ないように、お前の魔法で封印してくれ!お前なら、いや、お前しか出来ない!頼む!早く!長くはもたない」
「そんなことしたらカバネは?出来ないっ!出来ないヨ!」
「頼む!早く!俺に両親の仇を討たせてくれ!」
激痛で意識が朦朧としてきた。早くしないと魔物に乗っ取られてしまう。俺の意識があるうちに、まだやらなきゃならないことがある!
「カバネぇぇっ…ごめんネぇぇっ」
ノロイの魔法陣から鎖のようなものが飛び出して、俺の体に絡まって、きつくきつく締め付けられた
俺はいくつもの激痛に耐えて、広間の入口に視線をうつした
「カバネさんっ」
「カバネさまっ」
間に合った
俺は少し安堵して、最後の力を振り絞って叫んだ
「ヤシン!今だ!今が約束の時だ!そこに落ちている剣で、俺の心臓を貫けーーっ!」
「カバネさんっ……うわあああっ」
床に落ちていた剣を拾い、ヤシンは泣きながら走り出し、俺に向かって剣を向けた
「いやあぁぁっ!カバネさまぁっ」
クロの悲鳴も響き渡った
ヤシンの剣は俺の体を貫き
そして俺は意識を失った
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