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「カバネさん、あなたは本当は何者なのですか?部屋に置いてあるの、あれって上手く誤魔化しているけど、剣ですよね?」
庭で鍛錬する俺に、知り合って間もない、村一番の商人の三男坊が、そんなことを言ってきた
「えーと、ヤシンだったっけ?突然何言ってるんだ?」
「心配しないで下さい。僕は口は硬いので。あなたは何か目的があって、この村に移住してきたのでしょう?そうでなければ、この村に移住なんて有り得ない。そうだな…勇者、あなたは勇者になりたくて来た、違いますか?」
なんて鋭い。いやしかし、そうか、勇者選出なんて変な掟のある村に移住なんて……そりゃあ有り得ないか
「あー、俺ってバカだ……」
「僕は名前と違って野心がないなんて言われるのですが、本当はね、あの兄達に家を渡したくないんですよ…。あなたの手伝いをしたら、僕はあの家を手に入れる野心を叶えるのに近づけますか?」
ヤシンは、今まで見せたことのない笑みを浮かべていた
「…野心を叶えるために、お前は俺の言うタイミングで、俺を殺してくれるか?」
「…分かりました。その時が来たら『約束の時』と教えて下さい。僕は必ずあなたの役に立ちます、僕の野心を叶えるために」
ヤシン…お前の野心は叶うよ
だってお前は魔人を倒した英雄になるのだから
邪魔な兄も排除して、お前はあの家を自分のものに出来る
残念ながら、俺はそれを確認出来ないけどな
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