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暗い闇の中を、ひたすらに落ちてゆく
これが死ぬということなのか
「カバネ…」
「師匠!」
「カバネ、私をあの魔物から解放してくれて、ありがとう。これでやっとゆっくりと眠れるよ」
「師匠、ごめんなさい。魔物から解放しても、命は助けられなかった。師匠は俺のせいでこんなことになったのに!ごめんなさい」
俺は苦しくて、悲しくて、両手で顔を覆った
「カバネ、俺はお前と出会えて、お前と過ごせて幸せだったよ。こうして体と魂をあの魔物から解放してくれたことが嬉しいよ。お前は幸せになれ、カバネ…」
師匠はそう言って、俺の頭を優しく撫でると姿を消した
「師匠…」
「ヒカリ…大きくなったな」
「会いたかったわ、ヒカリ」
「父さん!母さん!」
懐かしい声、懐かしい名前。ずっと女みたいで嫌だと思っていた、俺の本当の名前
「仇を討ってくれたのね」
「危険なことをさせてしまったね。でも父さん達のためにありがとう。ヒカリは幸せにおなり」
「仇は討ったけど、俺も死んでしまった。ごめんなさい。だけど、これからはまたみんなで……父さん!?母さん!?」
俺も一緒に行くよ
どうして、師匠も父さんも母さんも消えてしまう?
俺も、俺も一緒に!
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