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目を開けると、そこは見知った自分の部屋の天井だった
「あ……れ?」
「カバネさん、気が付きましたか?気分はどうですか?左腕は痛みませんか?」
「ヤシン?あれ?俺、なんで生きてる??」
俺は起き上がろうとして、そこで初めて体の違和感に気づいた
左腕がない
「まだ起き上がらない方がいいですよ。クロとノロイに、あなたが目覚めたことを伝えてきます」
「ま…て。これはどういう事なのか、先に教えてくれ。なぜ俺が生きていて、なぜ左腕がない」
俺はヤシンの服を掴んで、無理やり引き止めた
「…実はですね、僕とノロイはあなたが自分の体に魔物を封じ込めて死ぬ、という手段をとることを知ってました」
「は?」
「まあ、村長は別として、老人達は口が軽いんですよ。まあ、そのうち老いぼれ達は僕が排除する…ゴホン。それは置いといて、知ったからには何かもっといい方法を探したわけです。あなたを犠牲にしたくなかったので」
そして、俺が犠牲にならない方法を2人は見つけたのだ。それは魔物を俺の左腕だけに封じ込めること。そして封じ込めた状態で左腕を切り落とすこと。その切断した左腕を魔法で完全に焼却すること。
「半ば賭けみたいなものでしたけどね。上手くいかなかったら、当初の予定通りあなたの犠牲という形になってましたけど。上手くいきましたね」
あの時の笑みだ。ヤシンの本当の性格が見て取れる、意地の悪い笑み
みんなを騙していたつもりでいたが、最後は俺が騙されていたわけか…
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