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目覚めてから数日後、俺はようやくまともに動けるようになっていた 「ひとつ予定外のことがありまして」 片手だけで、上手く体を拭けないでイラつく俺の手から、ヤシンはタオルを取り上げて、体を拭きながら話し始めた 「僕が切られて、クロに回復して貰ってしまいましたよ。そのせいであなたが、あのような対価を払うことになった」 あのような対価? なんだったか? 「あ、覚えてませんね?あなたは対価にクロと結婚してやると言いました」 「!!!!」 思い出した! 死ぬ気だったから、ちょっとどうでもいいって、ついうっかり… 「僕が助かるのに、あなたを人身御供にするなんて、予定外もいいところです。僕はあなたに、あなたの命を助けることで貸しを作らせようと思ったのに、逆に僕があなたに貸しを作るとは」 俺の体を拭くヤシンの手の力が、気の所為でなく強くなった。えーと、今なんか、凄いこと言われたような気がするのだが? 「クロはあなたと結婚する気満々です。そしてあなたは、老いぼれ達に「魔物を宿していた危険人物」と触れまわられて、よくない状況です」 「まあ、用が済めば、やっぱり余所者は追い出したいんじゃないのか?」 「だから、僕があなたを秘密裏に外へ逃がします。そして数年後に、僕がこの村を支配したら、呼び戻しますから」 ヤシンはまたあの笑みを浮かべた もしかして、あの時俺から魔物が逃げて、ヤシンに入ったのではないか?そんなことを思わせるほど、ヤシンは恐ろしかった
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