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ヤシンの手引きで、俺は無事にあの村を脱出出来た。村人から煙たがれるのは良しとしても、まさか結婚を求める女性から逃げることになるとは、人生って色々あるものだ 「路銀は多めに入れたので、服とか必要なものは、とりあえずどこかで買ってくださいね。剣も目立たないように細工しました。それから、出来たら定期的にここに連絡を。僕以外には情報漏れないので安心して下さい」 「色々とありがとう」 ヤシンは恐ろしい面があるけれど、本当に俺の為に色々と手を尽くしてくれた。そして、どうやらこれからも遠巻きに世話をしてくるつもりらしい 「これからもカバネとして生きていくんですか?カバネは本名じゃないんでしょう?」 「…お前はどこまで知ってるんだ…。うーん、俺は魔物に襲われた時と、今回ので2回死んでるようなものだから、このままカバネで生きていく」 「そうですか……」 ヤシンは俺の耳に顔を近づけて 「僕は、ヒカリって名前も好きですけどね」 と言って、また意地の悪い笑みを浮かべた 「お、おまえ、本当にどこまで俺のこと!!!!」 怖い!マジで怖い!恐ろしい! 俺はくるりと、ヤシンに背を向けて、慌てて歩き出した 「行ってらっしゃい」 さよならではなく、行ってらっしゃいというヤシンの言葉が、なんとも言えなく恐ろしく、振り返ることはしなかった 『光り輝く人生を送れますように』 そんな願いを母は込めたと昔言っていたが、今後はどんな人生なのか?俺は『屍』から生まれ変われたのか? とりあえず今は、求婚してくるクロと、魔物並に恐ろしいヤシンから逃げることだけを考えようと、固く心に誓った
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