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「あれ?」
買い物袋を手に階段をのぼると、玄関から出てきた隣人が
「お帰りなさい」
にこっ、笑いかけてきた。誰かいる? 後ろを振り返り、無人を確認してから
「ども」
会釈した。目線を下げたら、さっきは段ボールで隠れてた劇画タッチの熊柄のTシャツが目に入った
うわぁ、個性的
穏やかそうに見えるけど性格も服のセンスと同じ、個性の強い人かも。そういえばエイちゃんも独創的なセンスの持ち主だった。門松とか、アリクイとか、鯉のぼりとか平気で着てたし
「早朝からお騒がせしてすみませんでした。隣に越してきた御堂です」
お?
すっと差し出された右手にちょっとびっくり。握手かあ、隣人に握手を求められると思わなかったよ僕。照れくささを感じながらも、御堂の手を軽く握る
「隣の高木です」
御堂の目線は僕より少し上にある。もさっとした黒髪が銀色の眼鏡のフレームにかかっているけど、視界の邪魔はしてないみたい。ガラス越しに切れ長な目がよく見える。そして睫毛が濃くて長い。鼻筋も通ってるし、薄い唇の形もいい。よくよく見ると、レベルの高いイケメンだこの人
「あ。すみません、ちょっと待ってて下さい」
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