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「ないよ、一人も」
ごちそうさま、手を合わせ空の仕出し弁当を箱に返し、席に戻る。よし、仕事しよ。教本を開いたのに
「だったらプロで経験してみねえ?」
まだ解放されないらしい
「興味ないし、お金がもったいない」
「金なら出すって。男でも女でも綺麗どころ用意しててさ、信用を大事にするから一見の客は受け入れない店があるんだよ」
西村は後から、奢ってやっただろう、ネチネチとしつこく見返りを要求するタイプだ。一見の客を店に紹介できるってことは
「常連?」
「上得意様だ」
ふうん?
「よく遊ぶ金が続くね」
「うまいやり方があるんだよ。お坊ちゃんを脱皮する気があればやり方を教えてもいいぜ」
ろくな方法じゃないと思う。それに、いまの西村と職場の外でまで一緒に居たくない
「遠慮しとく」
「面白みのねぇお坊ちゃまだな」
仕事に集中しよ。検査場では業者と個人のレーンを分けている。さっきのあの子たちを西村に任せるのは、不祥事が起きそうで怖い。まあ、僕なんかが心配しなくても、眉を寄せて胃薬を飲んでる課長が調整するだろう
「なあ高木ってさ、大迫と親密な仲だったよな」
「普通の友だちだったかな」
「連絡取ってくれよ。西村雅史が久しぶりに顔見て話したがってるってさ」
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