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社会人になって二年。春夏秋冬、雨風に負けず冬の寒さにも耐えて朝から晩まで働いているのだから、休日くらいゆっくり寝たい。今日も寝るつもりだった。枕を通してドンドン、地響きのような足音や荷物を置く音さえ聞こえければ 「・・・・・・引っ越しか」 何時、いま。スマホの液晶に9時30分とある。せめて10時まで、思ったけど伝わる振動の大きさからして 「隣かよー」 どうやら入居のよう。いつ出てったのかな、隣。僕の住む電化家具つきのマンスリーマンションは、落としたスプーンの音も聞き取れる驚きの壁の薄さなのに、近所付き合いしてなかったから、さっぱり分からない 『母ちゃん母ちゃん大変、どこにもエイちゃんが居ないよ』 『二人で新しいお父さんのとこへ行ったからよ。寂しくなるね』 あーそうだった。付き合いがあっても、黙って消えた奴がいた 『まだかなー、エイちゃん』 母ちゃんに、もう居ないのよ、言われてもエイちゃんちの玄関の前に座って帰宅を待っていた。エイちゃんは僕を置いていかない、そう信じてたから 「あー駄目だ」 心が沈んで寝てられない 「シャワー浴びて頭スッキリさせよ」 エイちゃんと手を繋いで帰った日々はもう、とても遠い世界の出来事みたいに感じる。エイちゃんのバカ、戻ってきたって友だちになってやらないんだから・・・・・・
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