40人が本棚に入れています
本棚に追加
27度に設定したエアコンをつけ、脱衣場でくるまっていた毛布を脱ぎ、パジャマも脱ぎ、熱いシャワーを浴びる。僕はシャンプーの甘い匂いが好き。ボトルをプッシュしてとろーり、手の平に乗せた粘っこいシャンプーの匂いを目を閉じたまま、胸いっぱいに吸い込む
「んーいい匂い。・・・・・・ふぅ」
大好きな匂いを嗅ぐとどうして、息苦しさを感じるのだろう
誰に聞いても答えは同じ、その匂いが嫌いなんだよお前は、って言う。僕より僕のことを理解してたエイちゃんなら、別の答えをくれるのかな
「なーんてね、もう僕より僕のこと分かってくれてないよ、エイちゃんは」
ゴシゴシ洗った髪をトリートメントでケアして、体をソープでこすってから全身の泡を流した。髪をドライヤーでざっくり乾かし、部屋に戻り服を着る。キッチンでドリップしたコーヒーを、寒そうな外を眺めながら飲み
「よっしゃ、行くか」
ダウンジャケットを羽織り、朝食を調達するため家から出た。おお、人がいる。隣の玄関前で段ボールを手にした新しい隣人に
「おはようございます」
挨拶して錆びた階段を下りていく。後ろから
「おはようございます」
かかった声が嬉しい。無視されるだろう、思ってたからウキウキする。足取りも軽くコンビニへ向かった
最初のコメントを投稿しよう!