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最近、私は眠れなくなってしまいました。
夜になり、布団にもぐって目を閉じるのですが、まったく眠れないのです。
夜の長さを持て余していた私は、しばらく散歩に出かけることにしました。夜ももう12時を過ぎているというのに町は賑やかです。街路を歩いていると友人に出会いました。
この友人というのは、人間ではありません。この町より北方の町から越してきた雪男です。彼は楽器の演奏が得意で、夜になると、いろいろな料理屋に行って楽器の演奏をしていました。
「こんばんは。あれ、どうしたのだい。いつも君はこんな時間には外に出ないじゃないか」彼は言いました。
「こんばんは。最近、眠れなくてね」
私は雪男に会釈をして、また歩き始めました。
20分ほど歩くと、町の灯りは小さくなり、小川にたどり着きました。最近、私は川岸に腰かけて長い夜を過ごすのです。私は川岸に腰かけて水の流れをじっと見つめていました。そうすれば、少し眠気がやってくるのです。少しうつらうつらとして、もうそろそろ帰ろうかと思った時です。町の方から一人の青年が歩いてきました。年は私と同じくらいでしょうか。
「こんばんは。何をしているのですか」
青年は私に話しかけてきました。
「こんばんは。なかなか眠れなくて、少し涼んでいるのですよ」
私は答えました。
「眠れない…?おかしいな」
青年は首をかしげてつぶやきました。
「今から、菜の花を摘みに行くのですが一緒にどうですか」
青年は私にそう言いました。
「菜の花摘みですか。僕はかまいませんが、どうしてこんな時間に?」
私が尋ねると青年は少し笑っていいました。
「この時間だから行くのですよ」
私は青年の言葉を不思議に思いましたが、目が再び覚めてしまったので、結局、同行することにしました。
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