僕と君

1/1
前へ
/1ページ
次へ

僕と君

 目も開けられないほど眩しく、全身が溶けてしまうほど熱く、声が出せないほど喉は乾き、そんな季節の太陽に君はそっくりだ。  初デートはこの時計台の下からスタートだった。  君の私服は初めて見る。中学で出会ってまだ数ヶ月だから、私服を見るときもなかった。 白いブラウスに、少しフリルのきいた薄ピンクのミニスカート。黒のポシェットも黒のサンダルもまた際立たせている。  僕はファッションなんて分からないけれど、僕好みの服装だった。  僕らは映画に向かうことにした。 「わっ」  その瞬間、君は段差に気づかず転けた。  そして、スカートから見える、青いシマシマのパンツ。  僕は女性の下着なんて分からないけれど、僕好みの下着だった。  君は目も開けられないほど恥ずかしがり、全身が溶けてしまうほど火照り、声が出せないほど困り果て、そんな僕と君もとても青い。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加