ラムネ色の空

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「ねぇ、ラムネが飲みたいわ」 彼女は先程まで見つめていた青空を、そのまま映したような瞳で私を見た。病弱な体に似合わぬ、明るい声で彼女はラムネを要求した。 「炭酸はあまり好きじゃないって言ってなかった?」 彼女は青白い頬をぷくっと膨らませ、「ラムネ、ラムネ」と連呼した。 「だって、病室で開けて零したら大変だろう」 「中庭に出ればいいじゃない。今日はいつもより元気よ」 私は「どうだかなぁ」と首を捻った。 「炭酸は苦手だけど、ラムネは好きなの」 そう言うと、彼女は再び空を見た。ベッドから上体だけを起こして1日のほとんどを過ごす彼女の要求は、難しいものではなかった。
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