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少々むくれてしまった彼女の機嫌を取り戻すために、私は売店へと急いだ。そして、青く輝くビンを2つ買って、彼女の元へ戻る。売店で売っていたということは、飲んで悪いという訳では無いのだろう。
なによりも、久しぶりに彼女の自由な笑顔が見たかったのだ。
「ほら」
彼女の前にビンを差し出すと、たちまち瞳が輝き笑顔になった。
「ありがとう」
彼女は私から受け取ったビンを大切そうに持ち、ゆっくりと立ち上がった。
とても楽しそうに私の腕を引く。彼女は、中庭に出るとすぐにラムネを空にかざした。
「ほら、見て。私ね、ここから覗く青色の世界がとても好きなの。ゆらゆら揺れて、不安定で、とても青くて……。幻想的だとは思わない?」
その時私は空の青も、海の青も、ラムネのビンの青も、全ての青が彼女のためにあるように思えた。
彼女を包み込むその色は、とても澄んでいて、眩しいほどにキラキラと輝いている。
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