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「ここね、広いから一日中かけてもクジを書き終わらないんだよ」
それに、沢山沢山色を使って書けば綺麗だし、楽しいし。
「雨が降れば、もっと良いな。また最初からやり直しできるから」
――あぁ、そうだね。
君はここで、とても小さな抵抗をしてるんだね。
小さく足掻きながら、小さく叫びながら、選ぶ事に怯えて。
「ぼくが選ぶまで、まだ皆家族だからね」
喧嘩の声なんて聞きたくないし自分の存在さえ否定しながらもこの男の子は、俺と同じ。
もしかして……って、まだ、足掻いてる。
まだ、諦めきれていない。
それは、男の子が幸せな時間があった事を忘れてないから。
「でも、ちゃんと分かってるよ」
諦めなきゃいけないって。
選ぶ事はできても、やり直す事は不可能だって。
「2つのうち1つだから、すぐ決まるよって」
先生は何も分かってないね。
選択技は沢山あればある程に、可能性を期待できるんだ。
まだ希望を夢見れるのに。
1/2じゃ、何も夢なんて見れないよ。
「そう、思わない? お兄さん」
優しい男の子の瞳が、とろんと濁っている事が悲しかった。
泣いて泣き叫んで選べないって暴れても、それで結果が変わらないって、分かってしまったんだよね。
「そういえば、お兄さんはぼくに用事?」
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