3.

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 翌日、七海は昨日見たキレイな女性に触発されて、自分の服の中でも一番「大人っぽい」と思われる服装とメイクで出勤した。  細かい花柄のひざ下丈のフレアスカートにボウタイの付いたブラウス、アイメイクはブラウンでまとめて、少し濃い目の口紅を塗った。  鏡の中の自分は、まあ、いつもよりは「大人っぽい」部類に入るだろう、と七海は思った。 (――これだったら、堀之内さんだって「未成年じゃないのか?」なんて、言えないだろうな)  七海は自分が心の中で呟いた言葉に頷きながら、「Tanaka Books」の最寄りのバス停を降りた。  店に行ってみると、信彦はまだ来ていないらしく、店のドアにはカギが掛かっている。  七海はカギの空いているビルの入り口の方から中に入り、信彦から預かっているカギで店の裏口のドアを開けようとした。  七海が店の裏口のドアの前でカギを探そうとカバンの中をゴソゴソしていると、ふと、ビルのエレベーターの扉が開いた。  何気なくエレベーターの方を見た七海は、思わず反射的にビルの柱の影に身を潜めた。  柱の影からこっそりとエレベーターの方を見る。  エレベーターから出て来たのは晶だった。  相変わらず、リーバイスのジーンズにアディダスのスニーカー、そしてアディダスのジャージという子供っぽい恰好をしている。  そして、もう一人……。
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