3.

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「――意味、わかんねーの」  晶はドアを「ガチャガチャ」している七海を見ながら呟いた。「それに、あの人、彼女とかじゃねーし」 (――えっ?)  七海が驚いてドアノブを「ガチャガチャ」していた手を緩めて振り返ると、晶はちょうどエレベーターに乗り込むところだった。 (――えっ? 彼女じゃないって、どういうこと?!)  七海は思わず晶を引き留めようとしたが、一体、どんな言葉で引き留めればいいのか、適当な言葉が見つからない。  エレベーターの扉が「カチャリ」と閉まって行くのを、七海はただ立ちすくんで見守るしかなかった。 「――七海さん」  七海は信彦に話しかけられて、やっと我に返った。 (――そうだった、ノブさんもいたんだった)  七海は今更ながら「しまった」という気持ちになった。  さっきまでの自分の晶に対する態度、信彦は傍でずっと見ていたはずだ。 「あっ、はい!」  七海はなるべく何でもないような表情で信彦の方を振り返ったが、信彦の笑顔に比べて自分の笑顔は明らかに引きつっている。 「カギ、落としましたよ」  信彦が七海に、店の奥のドアのカギを手渡した。  晶の方を振り返った時に落としたのだろう。七海は自分がいつ店のカギを落としたのか覚えがなかった。 「あっ、ありがとうございます」 「後、さっき晶が言ったことは本当ですよ。一緒にいた女性、晶の彼女ではありません」  信彦がニコニコしながら言った。  やっぱり、信彦は自分があの女性のことを気にしていることに感付いたらしい。
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