5.

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 しばらく海岸沿いの道路を信彦の車で走っていると、信彦が「あれっ?」と声を上げた。  七海も前方に広がって来た景色を見て「あっ」と声を上げた。  前方に「通行止め」の標識とバリケードが見えてきたからだ。 「通行止めか……。仕方ない、七海さん、遠回りになりますけど、別の道で行きましょうか」 「はい」 「でも、通行止めなんて、どうしてだろう? 特に工事をやっているとかそういう感じでもないのに……」  信彦は独り言のように呟きながら、通行止めの目の前の十字路を左折した。  さっきの海岸沿いの道路とは違う、住宅街の中の道を車で走っていると、今度は踏切の手前で大渋滞が起きている。  踏切が閉まったまま、ずっと「カンカン」と言っているから、もしかすると事故か何かなのだろうか。 「今度は渋滞ですね」  七海が(今日はどうしてこんなにトラブルばっかりなんだろうか?)と首を傾げながら言うと、信彦も不思議そうな表情をした。 「今日はおかしいですね。何だか、行く手を(はば)まれているかのようです」 「そう、ですよね……」  信彦は全く進まない踏切の前の道路をまた左折すると、もう一つ細い道へと入って行った。 「確か、ここを真っすぐ走っても行けたはずです」  信彦が言った通り、その細い道をどんどん走って行くと、七海が先週見たワイナリー付近の風景が広がって来た。  細い道に入ってから順調にワイナリーへ近付いている。 (――今度こそ、無事に着けそう)  七海が胸をなで下ろした瞬間、目の前に信じられない光景が広がって来た。 「えっ?!」 「何てことだ!」  七海と信彦は驚きの余り、思わず大きな声を出した。
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