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「ところで七海ちゃん、お話って何かしら?」
あかねに言われて七海はハッと我に返った。
「はい、あの……。この間、私が『堀之内って苗字の方が親戚にいませんか?』って訊いたこと、覚えてますか?」
「ええ、覚えているわよ」
「その……、実はその堀之内さんっていう人の母親に、あかねさんがそっくりなんです」
「まあ、そうなの? 一回会ってみたいわ」
あかねは無邪気な笑顔を浮かべた。
「でも、その堀之内さんのお母さんはもう亡くなってしまっていて……。それで、あかねさんと堀之内さんのお母さん、顔がそっくりなだけでなく、左手にやけどの痕があるところまでそっくりなんです。何というか、偶然にしては偶然に思えないな、と思って……」
言いにくいな、と七海は思いながら、ところどころ詰まりながら何とかあかねに事の次第を話した。
「このやけどの痕まで?」
あかねは自分の左手のやけどの痕に目を落とすと、ジェラートを食べる手を止めて俯いてしまった。
七海はあかねが急に真顔になったので、「やっぱり、ヘンな話をしてしまったかな?」と思ったが、やがて、あかねは顔を上げて真剣な表情を七海に見せた。
「あかねさん……?」
七海は急に真剣な表情をしたあかねに少し戸惑った。
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