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七海は頭にいっぱい「?」を思い浮かべながらホットケーキを作り終えると、店の本を自由に読めるスペースで待っている晶のところまで持って行った。
晶は七海の持っているホットケーキを見た途端、ビー玉のような瞳をますます輝かせた。
ホットケーキを見ただけであんなにわかりやすく嬉しそうな表情をするなんて……、七海はやっぱりこの人はまだまだ子どもなんだな、と思った。
「――もう、すげーお腹空いてさあ。昨日、ドクターペッパーとビールしか口にしてねーんだよ」
晶は七海からフォークを奪い取るように受け取ると、ホットケーキを美味しそうに食べ始めた。
「えっ? じゃあ、昨日は飲み物しか口にしていないんですか?」
「そーだよ。だって、昨日、本屋休みじゃん。ノブさんもお前もいないし」
「本屋が休みの日って、いつも飲み物しか口にしないんですか?」
「ノブさんが作り置きとかしてくれるけど、一昨日の夜にお腹空いて全部食べ尽したんだよ。仕事するとお腹空くし……」
「だったら、カップラーメンとか、買い置きしておいたらどうなんですか?」
「前、言わなかったっけ? 俺、自分の作ったもの食べると、絶対に吐いちまうんだよ」
まさか、「自分で作ったカップラーメン」ですら吐いてしまうというのだろうか。
自分で作ったカップラーメンですら食あたりなってしまうなんて、それこそ、魔法で呪われているんじゃないのだろうか、と七海は半分呆れた気持ちになった。
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