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七海が瞼を開けると、見慣れた自分の部屋の天井が目に飛び込んできた。
(――えっ?)
七海は慌てて身体を起こした。
辺りを見渡すと、見慣れた自分の部屋のベッドの上だ。パジャマも着ているし、枕元には七海が読んでいるお気に入りのファンタジー小説の最新刊が転がっている。
(――でも、私、さっきまであの男と一緒にビルの中にいたはずなのに)
七海は枕元の目覚まし時計に目をやった。
4/11 土 4:44
土? 土曜日? 4時44分? と七海は自分の目を疑った。
さっきまでは確かに金曜日の夜で、あの男とビルの中にいたのに……。
いつの間に自分は時間と距離を飛び越えて、早朝の自分の部屋のベッドの上にやってきたというのだろうか。
(――もしかして、私、今まで夢でも見ていたって言うの?)
七海は「信じられない!」という気持ちで目覚まし時計を見つめたが、段々と眠たくなって来て、再びベッドに横になった。
そうだ、まだ朝の4時だ。取りあえずもう一度寝てから考えよう。
七海はそのまま吸い込まれるように眠りの世界へと入って行った。
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