2. Songbird(ソングバード)

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「あの……、葉月さんのことなんですけど」  七海は慌ててまた話題を逸らし、もう一つ気になっていたことの方を訊いてみた。 「ああ、あいつのこと?」 「もしかして、堀之内さん、葉月さんが友達の小説を盗作したことを知っていたのかな、と思って」 「知るか、盗作とか」 「えっ? 知らなかったんですか?」 「お前さあ、俺が魔法使いだからって、あいつの心の中が読めるとか、そういうこと考えてねーか?」 「えっ? 人の心の中とか読めないんですか?」  魔法使いなのに、と七海は心の中で付け足した。 「もちろん、読めるさ」  晶はそう言うと、七海の顔に手の平をかざした。「こうやると、読めるんだよ」 「えっ? ちょっと、何するんですか?!」  七海は晶の手の平から顔を背けた。 「お前の心の中なんて読まねーよ、読んだってつまらなそうだし。って、言うか、よっぽどのことがないと、人の心の中なんて読まねーよ」 「どうしてですか?」 「どうしてって……。お前、人の心の中なんて読んでも、良いことなんてねーんだよ。余計なことなんて、知らない方がいいんだって。そこら辺の『普通の人間』でも時々心の中、読めるようなヤツもいるけど、大体暗い顔してうつむいてるしさ。まあ、開き直ってるヤツもいるにはいるけど」  その「普通の人間」って、超能力者とかいう人間なのだろうか、と七海は思った。  人の心の中が読めるなんて便利そうな感じもするけど、と七海は心の中で首を傾げた。
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