Last Holiday

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「あーあーあーっ、聞こえない聞こえなーいっ!……お願いだからちょっと待ってよ。ぼくまだ怖いんだ。そりゃあ基睦は大好きだけど、その……基睦のアレ大きいから痛かったの。 だから少しずつ……きっと気持ちと身体が基睦と並ぶように追いかけるから、それまでぼくを待っていて欲しい。ねえお願い、ぼくを嫌わないで。ぼく頑張るから」  すがるような目でおれを見る。そうか、なんとおれは愚かなのだ。あの日、無理にレインを抱いてから様子がおかしかったのは、おれのサイズが合わず尻が痛かったからか。  股ズレならぬ孔ズレ、か。誠申し訳ないことをした。伴侶の気持ちを慮ってやれぬとは男として失格、これでは野獣と罵られても反論しようもない。慎弥の気持ちが理解できた。  レインを腕から解くとりんごほどに距離を取り、「おれが悪かった。その、なんだ。おまえと両想いになれて浮かれていたのだ、もう二と度無理強いはせん。許してくれ」と謝罪し頭を下げる。  するとレイン。 「ううん、基睦が謝らないでよ。ぼくだって同じ気持ちなんだから。けど初めて感じた痛みだったから、まだ勇気が持てないっていうか。だから今はこれだけ……ね──」  輝く夜空の下。いっそうレインの表情が愛らしく照らされ、ゆっくりゆっくりと近づき柔らかな口唇がおれに重なった───
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