Last Holiday

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 epilogue 「レイン。そろそろ空港に向かわねば乗り遅れてしまうぞ」 「はーい。すぐにいく」  いくつかのカレンダーを交換した今年、晴れてレインも高等部に進級し立派な成績を収める好青年と成長した。切磋琢磨する学友にも恵まれ、期待の生徒として勉学に励んでいる。  親として兄として友として、そしてパートナーとして。  これほどまでに誇らしいことはない。不安もあったが何事も成せばなる。レインと二人三脚バスチアンを入れて三人四脚、どうにか今日までやってきたというのが正直な感想だ。  ハイスクールも夏休みに入り、レインにしばらくの暇ができた。少しばかり仕事を持参しなければならんが、スケジュールを調整おれも有給休暇を取ることができた。  そして今日が帰国と相なったのだ─── 『基睦様。お荷物はすべてタクシーにつめ込みました。お早く』 「うむ、ご苦労」  おれとレイン、自身の荷物を運搬し終えたバスチアンが、タクシーまえよりスマートフォンにて出発をせっつく。おれはというとエントランスにてレインを待ち、今一度「レイン」と大声で遅刻魔を呼ぶ。 「ゴメンなさーい。お待たせ、この格好でだいじょうぶかな。おかしくない?」  おれの目のまえでくるりとターン、上目づかいでファッションチェックをねだる。 「ああ、凛々しい貴公子のできあがりだ。文句のつけようがない」 「えへへ、ありがとう」  モジモジと照れくさそうに視線を床に落として、足でのの字を書くレインは破壊的に愛らしい。最近になりやけに洒落気づいたレイン、こうしてよくおれに服装の確認を乞うてくるのだ。
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