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1.酔っぱらい事件簿
「いらっしゃいませ~!」
-…私の名前は篠原友里。大学二年生。このACマートのアルバイト店員。今日も一日頑張って働くぞ!!
私が気合いを入れる為にガッツポーズをすると、隣から
「気合い入ってるな、篠原さん?」と突っ込まれた。
「かくいう店長はいつも通りやる気無さそうですねぇ」
「何言ってるんだ。俺はいつもやる気十分だぜ?…じゃ、休憩行ってくるわ」
「今出勤したばっかですよ!?やる気ないじゃないですか!」
この隣でやる気ゼロで立っているのは、店長の島田涼店長。35歳。
「おい。何、年齢までバラしてんだ」
「あ、聞こえてました?いいじゃないですかー。店長の年齢なんてみんな興味ないからすぐ忘れますよー」
「なら、余計言う必要なかったんじゃねぇか」
あー、うるさい。無視無視。
とにかくやる気ない店長だが、ガンプラを集めるために働いているらしい。…やる気のない理由だなぁ。
「何言ってんだ。宇宙一最高な理由じゃねーか」
「地獄耳!?…っていうか、宇宙一やる気ない理由の間違いじゃないですか?それより、あのボロアパートを脱出する方が最高だと思いますよ?」
「学生寮に住んでる奴にボロアパートどうのこうの言われたくねぇよ」
「学生寮でも店長のあのボロアパートよりは立派です」
「んだとコラ」
一度、店長がケータイを店に忘れて行ったので私が届けに店長の家まで行った事があるのだが…その時に衝撃を受けた。
店長が住んでいるのは木造二階建ての二階のワンルームのボロアパート。その広さ、十畳。キッチン、風呂、トイレは外の共同。
あれをボロアパートと呼ばずして何と呼ぶ。
ちなみに肝心(?)なガンプラは十畳の部屋に所狭しと並べられている。
たぶんあの部屋には布団とちっちゃいちゃぶ台とガンプラしかない。
「もっと広い部屋に住めば、ガンプラをもっと置けますよ?」
「ぐっ…」
「店長秘蔵のDVDももっとまともに隠せますよ?」
「てめっ…その事は掘り返すなっつったろーが!」
「えー、だって堂々とあんなものやこんなものが置いてあるんですもん~。まさか店長にあんな趣味が…」
「…お前、クビな」
「うわー、パワハラだー!」
まぁ、いつもこんな感じで仕事してます。
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