1.酔っぱらい事件簿

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ピンポーン、ピンポーン♪ あ、お客さま! 「「いらっしゃいませ~!」」 私と店長は完璧な営業スマイルでお客さまを見た。 …うん? 「…店長…」 「うん、あれは明らかにおかしいな」 今入ってきたのは60過ぎくらいのおじちゃん何だけど、 なんかフラフラしてるし、挙動不審…。 「…酔ってんのかな?」 「大丈夫何ですかね、あの人…」 何かヤバそうなんだけど…。 …って、思ってるそばから。 「何か、入ってすぐ止まっちゃいましたね」 「あんなとこで立ち止まって…」 入口の真横で止まっちゃって、チャイムがめっちゃピンポンピンポン鳴ってる…。マジうるさいからやめてほしいんだけど、今の問題はそこじゃないか。 「声、掛けますか?」 「うん、ちょっと話しかけてみるか」 「じゃ、宜しくお願いします!」 「俺かよ?!」 「こういうのは男の仕事でしょうが!」 しぶしぶおじちゃんに声を掛けに行く店長。 「あの~、どうかなさいましたか?」 「えぇ?」 「あの~、どうかなさいましたか?大丈夫ですか?」 「えぇぇ?」 「あの!どうかなさいましたか?大丈夫ですか?!」 「何だって?」 「……」 あ、ダメだ。話通じないやーつだ。 スタスタとこっちに戻ってくる店長。そして手を差し出された。 「はい、選手交代」 「いや、私でもアレは多分ダメですよ!?」 話通じねぇのは私も無理だ! 「諦めるのはまだ早い!はい行こう!!」 「えぇー!無理ですってー!」 店長に背中を押され、仕方ないのでズルズルと話しかけに行くことにした。 「あの~」 「んん?」 「大丈夫ですか?」 「ん…あぁ。オーケーオーケー」 話通じちゃったよ! オーケーオーケーって!本当に大丈夫なのか?! 店長をちらっと見たら手招きしてるよ。 「…何ですか?」
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