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さて、他のお客さんも迷惑そうにこっち見てるし、取り敢えずこっから動いて頂こうかしら。
「あの~…」
「……うんっ?」
今、私に気付いたみたいな反応された。
さっき話してたよね?どっかにトリップしてたの、今?
「他のお客さまのご迷惑になりますので、ここから動いて頂いてもよろしいでしょうか?」
「あ…あぁ…」
そう言うが早いが、おじちゃんは動いてくれた。
…自動ドアの方に、少しだけ。動く方向逆だよ!
…って、あぁ!自動ドアに手を付いたらダメですよ!危ないですから!!
自動ドアが動く度に転びそうになるので、それを見かねた店長が遠隔操作で自動ドアを止めた。
そんな気遣いも大切だけど、それより助けてくれた方が私は嬉しいなぁ…。
「あのぅ、少しだけこっち行きましょうか?」
おじちゃんの背中に手を当て、優しく端っこの方に誘導しようとした。
店長は帰らせるか買い物させろって言ったけど、このまま帰らせると危険だよね…。
取り敢えず端っこにいて貰えれば、他のお客さまのご迷惑にはならないし、
その後の事は後で考えよう。
って思ってるのに、おじちゃんは動いてくれない。
何で?話聞こえてないのかな?またどっかにトリップしてる?
何度話しかけても反応してくれない。
…どうしよう…。
「あのなぁ…」
あ、反応してくれた!?
「はいっ!」
「酒が欲しいんだけど、どこにあるかね?」
まだ飲むつもりなの、このおじちゃん!?
さっき飲みすぎたって自分でも言ってたよね?
「お酒はもうやめておいた方が…」
「100円しか持ってないんだけど、買えるかね?」
…えぇ?
私の声は聞こえてないの?
っていうか、所持金100円て。
さすがに100円の酒はないなぁ…。
「ごめんなさい、ないですねぇ…」
「100円で買えないかね?」
「すいません、100円のお酒はないです」
「100円で買えるお酒持ってきてくれんかね?」
「ですので、100円で買えるお酒はこちらには置いてありません」
「ちょっと、これで買ってきてくれんかね?」
…………。
-ダメだ。話通じない…。
と諦め、店長に助けを求めようとカウンターの方に戻ろうとした矢先、おじちゃんに呼び止められた。
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