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罵倒があまりにもひどいので、稽古が終わってから、こうやって控室でワルヒトの悪口を言うのが恒例となっていた。
ちなみにワルヒトには特別に一人部屋の控室が与えられ、バカナコは女性ということで別室である。しかし、バカナコの部屋はワルヒトの控室の半分くらいの大きさしかないという。
「おまえ、次の土曜に田舎へ帰るんだってな」
ようやく落ち着いたネクラがカゲオに問いかけた。
「詳しいな。久々だし、ちょっと憂鬱なんだ」
ネクラは四三歳で、カゲオやマルオよりひとつ年上だったが、長年の仲間なので敬語を使うほどではない。ちなみにバカナコはずっと若く三三歳である。
「だろうな。あれは嫌なものだぞ。見知らぬ友人や見知らぬ親戚が増えていてな」
「ああ、ボクも覚えがあるよ。会った記憶もないのに、昔世話してやったみたいな顔をするんだ」
マルオもビスケットをかじりながら口を挟んできた。この男は小太りの体型が示す通り、楽屋ではいつも何か口にしている。
「それにしても、頑なに地元に帰らなかったおまえが、どうして帰ることになったんだ?」
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