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第五幕
年もかわり、カゲオ謹慎後初のアクト・ナチュラリー劇場が放送された。
カゲオの謹慎中に世間はクリスマスやら正月を迎えていたはずだが、落ち込んでいるカゲオには、そんな浮ついた行事はまったく関係なかった。相変わらずの強制収容所住まいである。
クリスマスや正月には、食事にチキンやおせちが出されたが、ろくに箸をつけることができなかった。おばさんには申し訳ないと思ったが、どうしようもなかった。
カゲオは恐る恐るテレビを付けた。
一番恐れていたのは、カゲオの代わりに誰かが加入していることだったが、かつて「お先真っ暗」こと松倉がバカナコに代わったときのようなことはなく、最大の心配は杞憂に終わった。
しかし、カゲオのいないコントはどこか締まりがないように思えた。
集団というのはうまくできているもので、そのうちひとりでも欠けるとバランスを欠くのである。
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