21人が本棚に入れています
本棚に追加
そこでだった。
私の運命を大きく左右するものを見つけたのは。
「――ん? 何だろう」
本の山に埋もれていた机の引き出しを開けると、その1番奥で何かが光った。
手を突っ込んで探り当てると、四角いものに触れた。
それは細工の施されたガラスケースで、中には連星十字(統治宗教のシンボル)のロザリオが入っていた。
黄金の連星の真ん中には、大きな楕円の石が、ガラスケースの中でも日光を受けて7色に煌めいている。
「こんなもの、持ってたんだ」
これだけのものなら、1度でも見たら忘れないだろう。
曾祖父が、それは後生大事にしていたことが伺える。
ケースから出して、しばらくその輝きを堪能していると、何か出っ張ったものが指に当たった。
ひっくり返してみると、石のはまっている中央部分が盛り上がっていて、その段差に小さな突起が付いていた。
私が触ったのは、この部分のようだ。
ぐっと、その突起を押してみると、案の定、パカッと軽快な音を立ててふたが開いた。
中には、セピア色の写真が1枚入っている。
シンプルなワンピース姿の女性と、10歳になるか、ならないかぐらいの男の子が並んでいる写真だ。
だいぶ風化が進んでいて、はっきりとは見えないけれど、女性は優しく微笑んでいるらしい。
男の子はというと、緊張しているのか無表情だ。
微笑ましい写真に、思わず目尻が下がる。
(――ところで)
彼らは一体、どこの誰なんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!