100年前の遺品

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 そこでだった。 私の運命を大きく左右するもの(・・)を見つけたのは。 「――ん? 何だろう」  本の山に埋もれていた机の引き出しを開けると、その1番奥で何かが光った。  手を突っ込んで探り当てると、四角いものに触れた。 それは細工の施されたガラスケースで、中には連星十字(統治宗教のシンボル)のロザリオが入っていた。 黄金の連星の真ん中には、大きな楕円の石が、ガラスケースの中でも日光を受けて7色に(きら)めいている。 「こんなもの、持ってたんだ」  これだけのものなら、1度でも見たら忘れないだろう。 曾祖父(ひいおじいちゃん)が、それは後生大事にしていたことが伺える。 ケースから出して、しばらくその輝きを堪能していると、何か出っ張ったものが指に当たった。 ひっくり返してみると、石のはまっている中央部分が盛り上がっていて、その段差に小さな突起が付いていた。  私が触ったのは、この部分のようだ。 ぐっと、その突起を押してみると、案の定、パカッと軽快な音を立ててふたが開いた。  中には、セピア色の写真が1枚入っている。 シンプルなワンピース姿の女性と、10歳になるか、ならないかぐらいの男の子が並んでいる写真だ。  だいぶ風化が進んでいて、はっきりとは見えないけれど、女性は優しく微笑んでいるらしい。 男の子はというと、緊張しているのか無表情だ。  微笑ましい写真に、思わず目尻が下がる。 (――ところで)  彼らは一体、どこの誰なんだろう。
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