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ショーは、思っていたよりも面白かった。
複数人の女性を軽々と持ち上げたり、調教された魔物が火のついた輪をくぐったりと、演技は多種多様だった。
特に高さ10メートルに設置された空中ブランコなど、大掛かりな舞台セットを使った演技は、爆発的に会場を盛り上げた。
高揚感や爽快感を残したまま、ショーは終了し、観客は声を弾ませて退席していった。
私も伯母さんの家に帰ろうと、小屋を出て少し歩いた頃だった。
コツコツと、私の靴音に重ねるように、後ろから違う靴音が聞こえてきたのだ。
初めは、目的地が同じ方向の人だろうと、特に気にも留めなかったけれど、人の数が減っても、ずっと私の歩調にぴったりな音が聞こえていると、さすがに気持ちが悪くなった。
それで、歩く速度を上げて距離を取ろうとしたけれど、後ろの音も同じように速くなって、距離は広がるどころか、縮んだような気さえして、私はついに走りだした。
すると案の定、後ろの音もテンポを早めて追い掛けてくる。
怖くなった私は、目に入った路地を右折したり、左折したり、とにかく闇雲に足を動かした。
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