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写真の人物が気になり、家族に聞いて回ったけれど、誰1人として知っている人はいなかった。
1度は、男の子が曾祖父ではと思ったけれど、その子の髪の毛は白っぽく、我が家の髪色はみんな揃って濃い色なので、全くの別人だろう。
「……もしかしてこのロケット、高祖父のだったんじゃない?」
そう言い出したのは、お母さんだった。
「ほら、昔言ってたじゃない。高祖父の妹さんが、使用人としてお勤めしてたって」
「じゃあ、この女の人がその妹さんってこと?」
「この服だって、本で見たことない?」
確かに言われてみれば、史書とか写真とかで、城の使用人が着ていた気がする。
女性が妹さんだとすると、ますます隣の子は誰なんだろう。
「許嫁……とかかもしれないわね~!」
うふふ、と楽しそうに笑うお母さんを尻目に、私はその写真の男の子を見つめた。
このロケットが高祖父のものだとして、どうして他人の写った写真を入れたんだろう。
兄妹なら、妹さんだけの写真だって貰えただろうに。
それとも、この写真でなくちゃいけない理由でもあったのだろうか。
私は、ロケットのふたを閉じ、丁寧にショートパンツのポケットへ入れると、自分の部屋へ向かった。
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