100年前の遺品

6/10
前へ
/319ページ
次へ
「行ってきます!」 「気を付けてね~。マヤに宜しくね」  大きな荷物を背負(しょ)って、私は元気よく我が家をあとにした。  目指すは、城下町セントール。 城下町には伯母さん夫婦が住んでいるので、しばらく厄介になるつもりだ。 その目的は、ただ1つ。 ロケットの写真に写る、男の子の正体を突き止めること。  写真の女性が高祖父(ひいひいおじいちゃん)の妹さんなら、100年も前のものなので、本人はもういないと考えた方が良い。 100年以上生きられるのは、魔族か魔物くらいだ。  それでも、男の子の子孫はいるかもしれない。 何の情報も無いけれど、私はとにかく高祖父や妹さんが暮らしていた城下町へ行ってみることにした。     ◇◆◇  “ようこそ旧王都セントールへ”  町の入り口からずっと、そんなのぼりが揚がっていて、道を埋め尽くすほどの人に、私は気圧されした。 (すごい……。こんなに賑やかな町なんだ)  王様の時代から、セントールは国の中心として栄えてきた。 王様のお膝元には、物も人もお金も集まったので、今でも、ここは国の首都となっている。 他にも、政権奉還がなされた聖地として、宗教家や熱心な信者も多く訪れるようになったとか。
/319ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加