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「ふざけなさい! 働かずに食べるご飯の罪深さ……身体に叩きこんであげるわ!」
「知るかそんなもぉおおおおん!」
そうやって向かい合ったその瞬間だった。
「お待ちいただけますでしょうか!」
どこかから声が響いた。声のする方を見ると、これまたどんな原理か知らないが、六人の姿がライトアップされている。
「あれは! ブラックレンジャー!」
流石トリダー様。あれが何か知っているようだった。
ブラックレンジャー?
その瞬間、六人の一人が超速でこちらに近づいてくる。
「私、こういうものです」
声からすると女性だった。こういうもの、というので手元を見ると名刺が添えられていた。
「総合エンタメ業務部主任代行・ブラックブルー」名刺にはそう書かれていた。
でた。よくわからない役職の人。俺は戦慄した。
「私、こういうものです!」
今度は別の奴がまた名刺を渡しに来る。
「居酒屋ダイタイ店長・ブラックイエロー」名刺にはそう書かれていた。
でた。飲食店店長。
「私、こういうものでして、以後お見知りおきを」
また別の奴が来た。
「○○保険お助け課窓口案内係・ブラックグリーン」名刺にそう書いている。
保険の案内役!
「アタシ、こういうものでぇーす」
また別の奴が来た。どうやらまた女性の声のようだった。
「ladylady店長代理・ブラックピンク」名刺に書かれている。
ladyladyは中堅女性ファッションブランドの名前だったはずだ。
「私、こういうものでっす!」
また別の奴だ。この人も女性か。
「介護老人ホームイキイキスタッフ・ブラックホワイト」名刺にかかれている。
ブラックなのかホワイトなのかわからないぞこれは。
「私、こういうものです」
最後にやってきた。
「(株)WBS・SE・ブラックブラック」名刺にはそう記載だ。
ガムじゃないか。大丈夫かこれ。
すべての名刺を受け取った瞬間、六人がポージングする。
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