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「マッシーモ」
沈黙を破り、わたちゃんがマッシーモの近くに屈む。
マッシーモは顔を上げた。
「うん。ごめんね、マッシーモ。私のせいだ」
いつものあっけらかんとした顔ではなく、わたちゃんは切なそうに笑っていた。
こんなわたちゃんの顔を、マッシーモは見たことがない。
「まぁ恥ずかしいよね。ダンス経験もないうちらがさ、いきなりダンスとかやってさ。中には『よぉやるな~』って感じで冷ややかに見る人もいるだろうよ」
「…………」
「無理強いさせちゃったしね。うん。ホント、悪かった」
「──……」
──…違う。
違う、違う、違う。
わたちゃんのせいじゃない。わたちゃんのせいじゃない。
マッシーモは必死に首を振った。
「マッシーモを誘ったのはさ」
わたちゃんがマッシーモの背中をポンと叩く。
この感触がお母さんみたいだなと、マッシーモはおぼろ気に思った。
「マッシーモとね、一緒にやりたかったからなんだ」
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