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2.大根引き音頭
ところで唐突な話だが、マッシーモには好きな男の子がいた。
同じ学年のイケメンクールガイ・雪町君である。
とはいえ、一度として同じクラスになった事もなく、目すら合った事もない。
廊下や昇降口ですれ違っただけでも奇跡レベルで、接点は皆無に等しかった。
まず整っていて涼しげな顔立ちが「何となくいいなぁ」と思い始め、それからは何気ない仕草のそつない感じに惹かれるようになった。
片や引っ込み思案でビビりのマッシーモと、クールすぎてフレンドリーとは程遠い雰囲気を持つ近寄りがたい雪町君に、進展など見られるはずもなく。
この想いを、マッシーモは友達にも相談せず、心の中にしまい込んでいた。
アイドルや俳優を心密かに応援するみたいに、見ているだけで十分な恋だった。
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