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魔女の穴は、黄色い壁に赤い屋根をしたとんがった建物で、その全体は薄汚れて煤けており、ねじくれた扉にはたくさんの蜘蛛の巣ができていたので、周辺の人々は、廃墟だと思っていました。 しかし、その廃墟の赤い屋根に突然男の子が現れ、人々は驚きました。 しかも男の子は美しく、軽やかに屋根の上でターンを決めていました。 魔女の穴の前は、男の子を見るたびにひとだかりができました。 特に、男の子と年の近い女の子たちはあきることなくいつまでもいつまでも男の子がくるくる回るのを見続けて、夕飯になっても帰らなかったため、心配した女の子たちの親もやってきました。 親の1人が男の子に尋ねます。 「何故屋根の上にいる?なぜずっと踊っているの?」 「偉大なるお母様が屋根の上にいるようにと言ったので、踊っていたのは他にすることがないからです」 「そんなとこにいると雷が落ちて燃えてしまうよ」 「偉大なるお母様がその時はその時だとおっしゃいました」 女の子の親は善良な人だったので、踊る男の子のことを警察に連絡しました。 早速、警察と児童保護局の人がやって来て青に声をかけました。 「君、降りて来なさい」 青は答えました。     
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