黒い左足、赤い大玉、白いおじいさん

2/11
前へ
/11ページ
次へ
「岡部さ、明日中間テストなのに、夜まで長距離走らせるんだよ。私短距離なのに。」 「えー陸部ないわ。しかもカナエのクラス明日数学じゃん。」 「・・・せめて岡部の担当、数学から家庭科とかに変えて欲しいわ。」 それから私はジャニオタのマユに「じゃあね」と言い残して電話を切った。 部屋にある時計を見たらもう夜の12時を越えている。ちなみにここまでの私はノー勉。もはや焦りを通り越している気がする。 「数学の宿題くらいはやるかー。」 と思ってみたけど、机が圧倒的に汚い。たくさんの化粧品の下にアプリで届いた服とダンボール、さらにその下に教科書が埋もれている。 「勉強のためには、まず部屋を片付けなきゃ。」 「カナエー、なんかお母さんに言った?」 「ううん。勉強するために部屋片付けてるー。」 部屋の扉と廊下を挟んだリビング越し、お母さんが私の言い訳に反応した。 ・・・独り言、それに言い訳を言うくせ、直さないといけない。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加