秘密

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「ねぇねぇ、だからぁ、先生って、彼女いるの?」 放課後の家庭科準備室にて先生のお手伝いをしながらしつこく聞いてみる。既に三回目。 だって気になるじゃん。なのにーーー 「鈴村さん、手、止まってますよ。」 中々手厳しい。 次回の調理実習で使うプリントを番号順に並べては私の方へ寄越す先生。それも淡々と。 「ちゃんと手、動いてますよーだ。」 先生から受け取った資料の端をトントンと揃えてホッチキスでパチンと綴る。 「て言うか…先生、質問に答えてない!彼女がいるのか知りたいだけなのに…。」 目一杯、上目遣いにして甘えた視線を送ってみるものの相手にされることもなく。 「鈴村さん、ほら、手。お仕事がちゃんとできないのなら明日からはもう僕一人でーーー」 「やりまっす!ちゃんとやるので…先生、その先は言わないで、お願い!」 せっかく先生と少しでもお近づきになりたくて作ってる貴重な時間なのになくす訳にはいかない。 「はぁ…わかりました。では引き続き作業を進めてください。」 先生は呆れた顔でそう言うとまた黙々とプリントを束ね始めた。
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