エー玉

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「ほんとだー!! ありがとう!!」 そう言って笑う君を見ていると僕も自然と笑みが溢れる。 中学生になった僕と君はあまり一緒にいなくなった。中学校では、男子は男子で固まって、女子は女子で固まるという事が普通になった。 夏祭りには部活が一緒の男子達と行った。僕はいつもの様にラムネを飲む。ふと君の姿を探すと、君はクラスの女子と来ていた。あんまり長く見ていると変に思われるから目を逸らす。でも、もう一度と思い、ちらっと君の方に目をやるとラムネを手に持った君と目が合った。君は少し驚いた様な顔をしたが、その後すぐに頬を染め、にこりと笑顔をこちらに向けた。僕は嬉しくなって微笑んだ。 僕はラムネを飲み終えると、ビンを返そうとラムネを買った出店に行った。出店のおばさんは、音の鳴らないビンを受け取ると 「それ、ビー玉じゃないって知ってた?」 と言った。僕の驚いた表情を見たおばさんは 「エー玉って言うんだよ。」 と、教えてくれた。 僕はそれを知った後、僕だけがあの綺麗なものの正体を知っている気分になり、僕の中であの青くて丸いものが特別になった様な気がし、少しくすぐったい気持ちになった。     
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