1 奪われた心

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「まだいたのか」 高支那は、端正な顔立ちに凄みを増す冷めた瞳でタケルを見据えると、抑揚なく言った。 タケルはこの担任が嫌いだった。 高圧的で威圧的…その上、冷淡。 32歳という年齢にしてまったく人間味を感じとれない。 優しさや思いやりとはおよそ無縁のこの男を、タケルは真っ直ぐ睨み返した。 ウザイ奴―― そんな言葉を心の中で呟きながらタケルは席を立ち、あからさまに高支那を無視しその横を通り過ぎようとした、その時―― ダンッ!!! 高支那がいきなりタケルの腕を掴み、無理やり教室の壁に押し付けたのだ。
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