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北校舎１階の片隅にある資料室は、どこかひんやりとしていた。
普通の教室の半分ぐらいしかないその部屋には、背の高いスチール棚が２台ずつ縦に二列並んでおり、授業に使う資料や道具が所狭しと置かれている。
その中で、タケルは少し気怠そうに棚を探っていた。
たまたま廊下で居合わせた数学担当の男性教師――相模(ｻｶﾞﾐ・39歳)に声をかけられ、資料探しを頼まれたのだ。
「すまないね」
そう言うと、相模は同じく棚の資料を探りながら、通りの向こうに立つタケルの後ろ姿を隙間から目で追っていた。
その視線はどこか卑猥な感じがしたが…。
そして案の定、タケルが並ぶファイルに手をかけた時、その手の上に相模の大きな手がそっと被さったのだった。
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