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ーよ!」
「あんたは雪ちゃんのどこが嫌なのよ!こんないい子、他にどこにもいないわよ!早く婚約でも一線でも超えて、私の娘にならないかしら」
「一線なんか超えねぇよ!」
大地は否定の言葉を口にする。
「最近、私に口ごたえが増えたわね。反抗期!?反抗期なのね!昔はもっと可愛かったのにどうしてこんなに可愛げなくなってしまったの!?」
「俺だって、昔の俺とはおさらばしたいよ!なんであんなに母さんの言葉を素直に従っていたのか、昔の自分に聞いてみたいよ!」
大地、瑞穂は互いに対峙して啀み続ける。
そんな二人に雪は時計を指差しながら「あの、もう時間が」と告げる。
二人は同時に時計を見やると、時計はもう二人が家から出ないと遅刻してしまうような時間を指していた。
「ちっ、こんな馬鹿息子じゃなくて雪ちゃんが娘だったらこんな時間にならなかったのに、話し合いは今日帰ってきてからと言いたいところだけど、私は今日から三日間、会社に籠らないといけないから、三日後に話し合いの続きよ!」
「こっちのセリフだ!今回こそは母さんを言い負かしてやる!」
大地と瑞穂はのこういう口喧嘩はいつも大地が言い負かされているので、これは大地、自身にも言っている意気込みでもあった。
「いい度胸ね。楽しみにしてるわ。じゃあ私は先に出るから戸締りは任せたわよ」
瑞穂はそう言うと、足早にリビングから出て行った。
「絶対に勝ってやる。雪、俺らも行くぞ」
大地は中身が何も入ってなさそうな鞄を持ちながら、雪に促す。
「うん」
雪も自身の鞄を持って、二人揃って家を出て、学校に向かうのであった。
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