闇おでん屋

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「蛸串ある?」 「へい」  黒い海から蛸の触手が姿を現す・・・・・・はずだったが、 「これが蛸なのか?」  吸盤もなく赤みもない、白い部位が串に刺さっていた。普通おでんの蛸と聞いてイメージするものとは趣を異にしていた。俺が知らないだけで、こういうものもあるのか?  口にする。コリコリとした食感。淡泊な味を煮汁がフォローする。うまいな。 「いい味でしょう。あの子の指なんですから」 「は?」  店主が何か言ったが、蛸を食いちぎるのに夢中だったので適当に聞き流した。
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