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静かで暗い海の底。
カミツキザメのすみかをくぐり、海草の森をかき分けると、秘密の王国がありました。
王国で暮らしているのは、サカナンチュという賢い魚たちです。
サカナンチュたちは発達した胸びれを器用に使い、岩を切り出したり、海草を栽培したりしてサカナンチュ王国を発展させました。
サカナンチュの大人のほとんどは、サカナンチュ工場で毎日毎日働きます。
サカナンチュの子どもは、サカナンチュ学校に通ってお勉強し、読み書きや王国の成り立ち、仕組み、常識を学ばされます。
「昔むかし、われわれサカナンチュは、みんなバラバラで海を漂って日々を無駄に費やしていました。しかし、かのサカナン大王が、サカナンチュたちをまとめて、この素晴らしい王国を築いたのです」
サカナンチュ学校の先生は、教室にいる子どもたちに向かって説明します。
「こんにち、王国を治めているのは、偉大な大王の孫、サカナン三世であることはみんなも知っていますね」
子どもたちはうなずきました。
「王様は、われわれみんなのために、今日も執務に励んでおられます。みなさんも立派なサカナンチュになれるよう、頑張らなければいけませんよ」
「はーい、先生。わかりました」
子どもたちは素直に返事をしました。
「ところで、ナンチュ君はまた授業をさぼっているようですね。みなさんはナンチュ君のような怠け者になってはいけませんよ。しんどくなった時は、先生や王様、あるいはみなさんのお父さんやお母さんが頑張っている姿を思い浮かべてみましょう」
先生は背びれをぴんと張り、得意気に言いました。
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