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「はいはい、わかったから。もう学校の時間だから、僕はもう出るからね」
こっ恥ずかしくなって、ナンチュ君は途中で家を飛び出しました。
流れるような速い泳ぎで、学校へ向かいました。
「おう、ナンチュ君!」
「おはよう、ナンチュ君」
教室では、クラスメイトの面々がナンチュ君に朝のあいさつをしました。
「ナンチュ君が来やがっただと?」
「え、本当だ。あのサボり遅刻魔のナンチュ君だ!」
クラスメイトたちは、珍しい品でも見るような顔で、ナンチュ君をジロジロと見ていました。
昨日の喧嘩で助太刀してくれた変異種のサカナンチュが数匹、ナンチュ君に親しげに話しかけました。
昨日は敵だった正常種のサカナンチュたちとも、仲直りをしました。
ナンチュ君にとって、それは新しい発見でした。
(昨日まで、僕の友だちはカナちゃんだけだった。カナちゃんが居なくなって、僕はすべてを失ったと思い込んでいた。だけど、それは違ったんだ。僕にはたくさんの友だちがいる。それから、いつでも見守ってくれるママがいる。僕は孤独じゃないんだ。たくさんの魚に、支えられ生きているんだ!)
ナンチュ君は希望を取り戻しました。
やる気がぐんぐんみなぎってくるのを感じました。
(そうだ、カナちゃんを助けに行かなくちゃ!)
ナンチュ君は決意しました。
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