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「じーちゃん! ねぇねえ何でっ?」
孫が勢い込んで膝に乗って来る。男の子のように短く髪を刈っているが、孫娘だ。こう言う、お姫様みたいな特別な女性の話は大好きだろう。
「あー、そうだな……美香は昔戦争が在ったこと、知ってるかい?」
香太の嫁に似て、真ん丸くきらきらした黒目勝ちの双眸が僕を映す。僕は頬が緩むのは、やっぱり可愛いからだろう。
香織さんはお嬢様はこの感情をご存知だっただろうか。一人逝ってしまった。見送る者や惜しむ者はたくさんいたけれども。
あの儚い笑顔の中で感じてくれていたなら、僕はきっと、救われる。
【Fin.】
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