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ハッと気がつくと、そこは自分の部屋の勉強机だった。
卓上の時計は午前4時58分を指している。
やっぱり夢だったんじゃん……。
でも、夢でよかった、と胸をなで下ろしたそのとき、自分が外に出たときに羽織ったパーカーを部屋の中で着ていることに気がついた。
そして、机の上にはふさふさの何かと、置き手紙があった。
人の子よ
今回は仲間の意見に免じておぬしを元の世界へ戻してやった
だが二度と神無月の満月の夜にあの森へ訪れるでない
もしもおぬしがまた掟を破れば おぬしは永遠に狐として一生を終えることになるぞ
それはおぬしから引き抜いた尾だ
戒めとして持っておくがよい
置き手紙を読んで、私は二度と真夜中に家の裏の森へ行かないと誓った。
それは、とても不思議で恐ろしい、ある秋の満月の夜のできごと。
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